日本三景の一つ天橋立を擁す宮津市は、江戸時代北前船の寄港地として栄え、「縞 の財布が空になる」と宮津節で歌われるほどの賑わいでした。
良好な漁場を持つ宮津は漁業も盛んで、そこで獲れた豊富な海の幸は、人々の知恵により煉製品としても加工され、その技術は代々受け継がれていきました。
現在営むいずれの店も創業は古く、中には江戸時代に創業し170年を越えている店もあります。
やわらかくかつ適度な弾力、そのままでも、調理しても美味しく食べられる煉製品は栄養価が非常に高く、卵と並ぶ高タンパクな食べものでありながら低カロリーといった特徴があります。
すり身や落ち身をふんだんに使っているため魚の味わいが濃く、カルシウムも大変豊富です。
また、宮津のちくわは原料にいわしやあじ、ほっけなどの色の黒っぽいすり身を用いているため黒ちくわとも呼ばれ、全国でも珍しい食品です。
気取らない、飾らない、けれど連綿と受け継がれたその味わいには、この地の人々の暮らしや命を受け継いできた歴史が込められています。